膝蓋骨内方脱臼
膝蓋骨内方脱臼
膝蓋骨内方脱臼は主に小型犬に見られる最も一般的な膝関節の異常です。
その重症度によって、跛行が見られる場合から、何も症状を示さない場合もあります。
症状
脱臼のグレードにより症状が異なりますが、軽度ですと何も症状がなく、院内での診察時の触診で発見されることがあります。
よく見られる症状は、お散歩や公園で遊んでいる最中に急に片足を「く」の字に曲げて歩き、しばらくすると何事もなかったように元に戻ります。
状態によっては後ろ足をあげたまま、ずっと痛がる場合もあります。
重症度分類
検査
- 触診検査により、痛みの有無やGradeの分類を行い、また股関節や足根関節に痛みなどはないか、筋肉量に左右差はないかなどを確認します。
- レントゲン検査を行い、股関節、膝関節、足根関節の異常の有無を確認します。
- 手術が必要になった場合は、必要に応じてCT検査を行います。
治療
検査でGradeⅠと診断された場合や、GradeⅡで症状のない場合は「爪や足裏の毛のお手入れ」をしっかり行うことで滑ることを防ぎ、かつ「体重を食事療法で適した体重にする」ことで関節への負担を下げます。
検査でGradeⅡと診断されたが症状が2~3週間継続する、もしくは月に3回以上症状が見られる場合や、GradeⅢ、GradeⅣの場合は手術が推奨されます。
膝蓋骨がはまっている溝を深くする「滑車溝造溝」や脛骨稜を外側に移動させる「脛骨稜転移」や関節を包んでいる関節包を少しきつく縫うことで膝蓋骨を外れにくくする「外側関節包縫縮」を行います。
また、骨の変形が見られる場合はその変形度合いをレントゲンやCT検査で確認し、必要に応じて「骨切り術」を行い、骨の変形を修正します。
事前の検査で靭帯の断裂を疑う場合は、靭帯断裂の修復も行います。