外耳炎とは
外耳炎とは耳の入口から鼓膜までの間に炎症が起こった状態を言います。
温暖湿潤な気候な日本では一年中多く見られる病気で、特に垂れ耳のアメリカン・コッカー・スパニエルやミニチュア・ダックスフンド、ゴールデン・レトリーバーなど、耳の中に毛が生えるトイ・プードルやシー・ズー、テリア系のわんちゃんなどに多く見られます。
原因
- 細菌やマラセチア(カビの仲間)などの繁殖
- ミミヒゼンダニの寄生
- アレルギー性皮膚炎
- 犬種や耳の構造
- 不適切な耳のお手入れ
- 腫瘍や異物
症状
一般的に耳を痒がることが多く、耳を振ることもあります。炎症が激しいと痒みを通り越して痛みに変わることもあります。
また、耳のお手入れをしていると耳垢が多く感じたり、耳から臭いを感じることも多く見られます。
検査
まずは耳鏡で耳の中の状態を確認します。わんちゃん、ねこちゃんの耳は垂直耳道という縦になっている耳道と水平耳道という横になっている耳道にわかれています。
耳鏡を使って、耳垢はどの部分に多いか、赤みや腫れはどうか、異物やデキモノはないか、鼓膜はどうかを確認します。
耳垢が多く見られる場合は、その耳垢を採取し、顕微鏡を用いて検査を行います。
これによりミミヒゼンダニは存在しないか、細菌やカビなどの菌が存在しないかを確認します。
膿のような耳垢が見られたり、経過が長く、治療効果が乏しい場合は耳垢を採取して、抗生剤の感受性試験を行うこともあります。
上記の検査以外でも腫瘍などを疑う場合はレントゲンやCT検査を行ったり、ミミヒゼンダニと診断された際にフィラリアの予防をされていないわんちゃんの場合はフィラリア検査を行います。
治療
細菌感染やマラセチアの感染による外耳炎の場合は、抗生剤や抗真菌薬、消炎剤などを症状に合わせて使用します。
多くは点耳薬ですが、耳の状態や検査結果、症状などを踏まえて内服薬で治療したり、点耳薬と内服薬を併用することもあります。
耳垢検査でミミヒゼンダニが発見された場合は、駆虫を追加で行います。
多くは背中に塗布する薬が多いのですが、これらはフィラリアに感染しているわんちゃんには注意して使用する必要があるため、フィラリア症未予防のわんちゃんは事前にフィラリア検査を行います。
また同居している他のわんちゃん、ねこちゃんがいる場合は感染している可能性が高いため、一緒に治療することもあります。
アレルギーに起因して外耳炎が起きている場合は、治療をやめるとまた痒くなってきます。そのため、食事療法や抗アレルギー薬の投与を行う必要があります。
また、外耳炎が慢性化し、内科的な治療が効果を示さなくなってきた場合、または腫瘍などがある場合は外科的治療が必要になります。その際はレントゲンやCTなどの画像診断を行い、耳道切除術を行います。
最後に
外耳炎はわんちゃん・ねこちゃんで多く見られる病気で、治っても繰り返すことの多い病気です。
最初は軽度な外耳炎でも放っておいたことにより耳血腫になったり、耳道の線維化が進み外科的処置が必要になったりしてしまうことがあります。
また、不適切な耳のお手入れにより逆に耳を傷つけて外耳炎になってしまうことも少なくありません。
耳を痒がっていたり、赤くなっていたり、臭いがしていたりしたら早めに検査し、早めに治療をすることをお勧めいたします。